パッヘルベルのカノンについて
"Kanon und Gigue für 3 Violine mit Generalbass"

パッヘルベルのカノンは、そのまま「パッヘルベルのカノン」と言われたり、「カノンとジーグ ニ長調」とか略して言われたりすることも多いのですが、正式なタイトルは「3つのバイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ(Kanon und Gigue für 3 Violine mit Generalbass)」といいます。この曲は、3つのヴァイオリンのカノンと軽快なジーグの2曲が対になって、一つの楽曲となっています。やたらとカノンの方だけが有名ですが、ジーグの方も忘れないで欲しいなと思います。

このカノンでは3つのバイオリンパートが2小節ずつずれて全く同じメロディを演奏し、低音のパートは2小節の短いメロディを最初から最後まで28回も繰り返し続けます。簡潔な構造であるにもかかわらず、そのハーモニーは美しく、曲自体は何度聴いても飽きが来ないのが不思議ですね。

また、パイヤールやミュンヒンガーなど一部のCDの解説書には、パッヘルベルのカノンとジーグは元来オルガン曲で、それを弦楽のためのカノンとジーグにしたのが「3つのバイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ」となったとされています。しかし、パッヘルベル直筆の「カノンとジーグ」の楽譜がない以上、もとから弦楽曲なのか本来はオルガン曲なのかは、決定的なものがないと言えます。極端な話、別の人がパッヘルベルのコラール曲を弦楽にアレンジしたもの、といった可能性など、パッヘルベル作曲でない可能性も完全に否定しきることは出来ないのです。



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